ドラマは続いていた

1990年12月23日、

その日はあるスーパーホースの引退レース
となる有馬記念の日でした。

秋のG1を大敗してしまい、もう有馬記念
ダメだろうとみんな言っていました。

しかし、そんな悪い評判をはねのけて
見事に優勝してしまいました。

その馬の名はオグリキャップといいます。

私は当時メジロライアンという馬が好きだったので
その馬を応援していました。

結果はオグリに続いて2着。

あの大川慶次郎の「ライアン!ライアン!」と
やや興奮気味の放送をいまでも覚えています。

ライアンファンの私でしたが、
オグリの優勝はちょっと興奮しました。
(そのためオグリキャップの引退式は
見に行ってしまいました。)


前置きが長くなってしまいましたが
6月24日の日経新聞「文化」の欄に

オグリキャップを20年にわたって撮影した
内藤律子さんというカメラマンの記事が載っていました。

オグリはその華やかな現役時代とは対照的に
種牡馬としては成功しなかったため
いつしか人々から忘れられていきました。

昨年7月にオグリがこの世を去ったとき
そういえば伝説の馬がいたなぁと思い出しました。

カメラマンの内藤さんは
有馬記念を終え引退してから
オグリを撮りはじめたのでした。

芦毛のオグリは引退後
真っ白な毛になりましたが

その真っ白オグリの写真や
ネコとのツーショットの写真が
新聞には紹介されていました。

内藤さんはオグリを

非常に無邪気で子供っぽさが残るしぐさ。
馬の中では愛嬌のある”丸顔”で表情も豊か。

ひとなつっこく、気性もとても穏やかで、
こちらの気持ちがわかるのではないかと
思うくらい賢かった

と述べています。

この記事を見て、
「そっかぁ、オグリのドラマって
まだ続いていたんだなぁ」
と思いました。

ただ私がそれを知らないだけでした。

引退後、人に知られなくても
オグリはオグリの人生を歩んでいました。

そこにはオグリのドラマがありました。
私が知らなかっただけ。


そして、この記事を読み終わったあと
少し感慨深くなったのですが

それと同時に別のことを思いました。

ドラマは人それぞれある。
だれだってその人自身のドラマをもっており

当然私には私のドラマがあるのです。

人に知られていようと
知られてはなかろうと

私には私の生き方があります。

オグリは引退後も
オグリらしく生きたのだと思います。

それを内藤さんが見ていた。

私も私らしく生きていかなければいけないな
と思いました。

やはり私にもまわりに私を見てくれている人が
いると思います。

自分自身楽しく、そして
まわりの人が私のドラマ(生き方)を見て
何か感じてくれるような人生を
歩んでいきたいと思います。

私はまだ引退をしたわけではありません。
まだこれからの人間ですから
いくらでも人生のレースに勝つチャンスが
あると思います。