ヤスミン・アフマド特集「細い目」の感想:多民族国家での恋(令和元年8月14日)

趣味は映画のみっちーです。

 

今回は、シアター・イメージフォーラムで開催されている「ヤスミン・アフマド特集」の映画を鑑賞してきた。

 

ヤスミン監督はマレーシアの監督・脚本家。民族・宗教・言語が混ざり合う多民族国家マレーシアを舞台にした家族の話、恋の話を描く。

 

私は今年の初めに「タレンタイム 優しい歌」を観て、私はヤスミン監督のファンになった。

motoshidaa2.hatenablog.com

 

この映画、とてもよかった。

 

残念ながらヤスミン監督は「タレンタイム」を公開した直後の2,009年に51歳の若さで亡くなってしまった。

 

没後10周年ということで、現在、ヤスミン監督の特集が企画されたわけである。

 

それでは、まず「細い目」について書いていきたい。

 

 

「細い目」について

 

「細い目」はヤスミン監督の第2作目の作品で2,004年に公開された。

 

2003年のデビュー作「ラブン」に続いての作品だ。

 

「ラブン」にもオーキッドという女の子が登場するが、それほど主要な登場メンバーではない。

 

本作に続く「グブラ」・「ムクシン」の三作をオーキッド三部作というそうだ。

 

だから、「細い目」を観たら、少なくとも「グブラ」と「ムクシン」は観ておく必要がある。

 

そして、ヤスミン監督の最高傑作である「タレンタイム 優しい歌」も見逃してはいけない。

 

それでは、映画サイトの評価を見ておきたい。

 

映画.com 4.2

eiga.com

 

Filmarks 4.0

filmarks.com

 

映画.com、Filmarksともに4点以上(5点満点)で高得点だが、映画comは一人しかレビューしていないので参考数値だ。

 

この作品のあらすじは以下のとおり

香港の映画スター・金城武が大好きなマレー系の少女オーキッドは、露店で海賊版のCDやDVDを売る中国系の少年ジェイソンと出会い、恋に落ちる。民族も宗教も異なる2人だったが、互いの家族に温かく見守られながら、かけがえのない初恋を育んでいく。しかし、民族的出自が原因で大学進学の道が閉ざされているジェイソンは、裏稼業の元締めであるジミーやその妹マギーとの関係を断ち切ることができない。一方、オーキッドにはイギリス留学の日が近づいてきて……。

細い目 : 作品情報 - 映画.comより引用

 

マレー系のオーキッド、中国系のジェイソン。

 

民族の異なる二人が恋に落ちるところからこの話は始まる。

 

それぞれ、住む世界が異なるもの家族や友人に見守られつつ二人の結びつきは強くなる。

 

ところが、あることがきっかけで、二人は離れてしまうことになったのだ・・・

 

という話。

 

ちなみに、「細い目」というのは、中国系の目が細いことをからかうマレーシアの言い方らしい。

 

 

「細い目」の感想

 

恋っていいなぁ・・・と思う。

 

本来、恋するのに、国も民族も宗教も関係ない・・・はず。

 

しかし、敵対する民族同士の恋はなかなか成就しないし、異なる宗教の二人が恋に落ちることもなかなか難しい。

 

日本にいては、そんなに宗教のちがいや民族のちがいというのを実感できないが、マレーシアみたいな多民族国家ではそういうことがよくあるのだろう。

 

日本でいうと、家柄のちがいで結婚できないという場合にちかいかも。

 

いずれにしても、人間社会にいると、ただ恋をすればいいというような単純なことができない。

 

しかし、本作のマレー系オーキッドと、中国系のジェイソンは恋に落ちた。

 

とてもわかりやすい一目惚れだった。

 

中国系ジェイソンの一目惚れなんだろうが、オーキッドの性格もすごくよく、二人はたちまち強い絆を作っていく。

 

私は、愛情が育まれいくふたりを、応援した。

 

でも、住む世界がちがう二人。ジェイソンはトラブルを抱えてしまう。

 

やっぱり、恋はむずかしい。

 

心の絆は、異なる世界を生きるせいで、もろくなる。

 

これがマレーシアの現実なのかもしれない。

 

ヤスミン監督の作品では、英語以外にもさまざまなことば出てくるので、そこから多民族だなぁということがうかがえる。

 

そんななかで、純真な恋の姿を描いたこの作品は、観ていて心が洗われるようだった。

 

もっと純粋な心を持ちたいものだ。私はそう思った。