恋愛はただ性欲の詩的表現を受けたものである。
つまり、恋愛の本質は性欲だということです。高校生の時にこの本を読んで、恋愛にロマンを求めていた私は衝撃を受けたものでした。なにせ、いまでも純愛モノの映画やドラマを見ると涙を流してしまうほどですから・・・。
この芥川のいうことが正しいかどうかは置いておきます。ただ『ぼくは愛を証明しようと思う』を読んでいたら、芥川のことばを思い出しました。
さて、この作品ですが、今までモテなかった主人公の渡辺正樹が「恋愛工学」というものを学んで次々と女性をナンパし、モノにしていく話です。
「恋愛工学」というのは「金融日記」というブログを書いている藤沢数希さんという方が提唱している学問らしいです。正直よくわかっていないのですが、どこかで連載していたらしいです。
よくわからないまま読み始めて、けっこうおもしろく読めて、すぐに読了。
しかし、読み終わったあとにアマゾンのレビューを見たら酷評が多くてびっくりしました。
●こりゃ酷い
●はんぱななんぱ本
●こんなもの文学ではない
● この本で果たして「恋愛」が出来るのか?
●古い 笑
などなど。
まあ、別に文学でもないし、なんぱの得意な人にとっては「そんなこと読まなくたってできるよ」と思うかもしれません。要するに必要ない人が読めば当然つまらないってことです。
とりあえず、なんぱなどしたこともない私にとっては新鮮な内容ばかりでした。
受け入れられない人が多いのは、恋愛をゲームとして捉えている面が強いからでしょう。物語内で「恋愛工学」を渡辺に伝授している長沢さんはこんなふうに言っています。
恋愛も、勉強や仕事といっしょだ。効率よくやるべきものなんだ。最小限の努力で最大限の成果を得る。生産性が大切だってことだよ。恋愛なんて、ただの確率のゲームにすぎないんだから、正しい方法論があるんだ
恋愛は確率ゲーム。たくさんの女性と出会えば、当然全く出会いがない人より女の子とつきあう確率は高くなるとのこと。
さらに「恋愛工学」ではこんな公式があります。
モテ=ヒットレシオ×試行回数
つまり、「恋愛工学」においては、女性と出会うための行為(主にナンパ)×女性と一夜を共にする回数がモテ度が決まるわけです。
そしてモテるためにさまざまな方法論がこの本の中では紹介されているわけです。
反対に私が追い求めている純愛モノは「恋愛工学」では「非モテコミット」というらしいです。長沢さんが「非モテコミット」のことを
お前みたいな欲求不満の男が、ちょっとやさしくしてくれた女を簡単に好きになり、もうこの女しかいないと思いつめて、その女のことばかり考え、その女に好かれようと必死にアプローチすることだ
と渡辺に言う場面があるのですが、正直これを聞いたとき「私のことだ」とギクッとしてしまいました。「非モテコミット」は「恋愛工学」では最もダメなことらしいです。
たくさんの要素がつまっていてちょっと紹介しきれないのですが、この物語はある意味、主人公渡辺の成長譚なので、「非モテコミット」組の私としては渡辺に肩入れするところがけっこうありました。
小説として読めば、ストーリーに奥行きがないと読み取る人もいると思うので、味わいに欠ける人もいるでしょう。でも私は単純におもしろいと思いました。
とはいうものの、この話は男性目線であるのは否めません。途中で長沢さんが「恋愛プレイヤーは、人々をいい気分にするために街に出るんだ」と言ってはいるものの、なんとなくひっかかるものはあります。
もしかしたらもっと深い読みができるのかも知れませんが・・・。
どっちにしてもナンパをしない私には関係ないといえば関係ないですね。じゃあ、読むなよって話ですが(笑)
もし、女性にモテたいとかおつきあいしたい人がいれば、この本は参考になると思います。ぜひご一読を!