趣味は映画鑑賞のみっちーです。
今回のブログは、先日観た韓国映画「国家が破産する日」の感想です。よろしく!
国家が破産する日
2019/11/8公開
監督:チェ・グクヒ
出演:キム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノ他
満足度:☆☆☆☆(☆4つ)
【あらすじ】
経済が右肩上がりの成長を遂げ、好景気が続くと信じて疑わなかった1997年。韓国銀行の通貨政策チーム長ハンは通貨危機を予測するが、政府の対応は遅れ、さらには国民には公示せず非公式の対策チームを立ち上げる。同じ頃、危機の兆候を独自にキャッチした金融コンサルタントのユンは、一世一代の大勝負に出る。一方、何も知らない町工場の経営者ガプスは、大手百貨店からの大量発注を、手形決済という条件で受けてしまう。自国通貨の価値が加速度的に下落する中、彼ら、そして国家は生き残ることが出来るのか―。
シネマート新宿にて
今回は地下鉄新宿三丁目駅から徒歩数分のところにあるシネマート新宿で鑑賞。
1階正面入口から入るとポスターがいくつか並んでいる。
そこからエレベーターで6階に向かうと劇場がある。
B-12から見えるスクリーン。
前のほうに座席の傾斜がなく、下手するとスクリーンに前の人の頭が被ってしまうので要注意。
私は2列目の真ん中に座ることにしている。ここは前の席が車椅子用になっているため、ほとんど空いている。
前の人の頭でスクリーンをじゃまされることがないので安心だ。
「国家が破産する日」の感想
昨年から今年にかけて、韓国という国をよくあらわしている作品をいくつか観てきた。
「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「1987,ある闘いの真実」、「工作 黒金星と呼ばれた男」などだ。
どれも国家の裏側がよく描かれた作品だった。
これらを観るかぎり、韓国が成熟した民主主義国家とは到底言い難い状態で、国民がかわいそうに思える。
そして、この作品もやっぱり同じ類の作品だった。
「国家が破産する日」は文字通り、国家の破産をテーマにした作品だ。1997年の通貨危機の裏側を描いたものである。
韓国は、このとき無策だったために、数多くの企業が倒産し、結局IMF(国際通貨基金)に支援を要請することになった。
その当時のことをもとに創作した作品だということだが、おそらく製作者はたくさんの取材を重ねて臨んだにちがいない。
当時、韓国では数多くの自殺者が出たそうだ。作品をつくることでその弔いも兼ねているのだろう。
とにかく、この作品を観ていると、国の上層部のことが憎くてたまらなくなってくる。「おまえら、なんにも国民のことなど考えていないだろう」と怒鳴ってやりたくなるくらいだ。
さて、この作品の主人公はキム・ヘス演じるハン・シヒョン。この人は正義の味方。彼女は韓国銀行通貨政策チーム長として深い専門知識を有する。そして、鋭い分析を行いながら危機管理をしていくのが任務だ。
ところが、この国は腐っていて、せっかくのハン・シヒョンの分析が全然相手にされない。官僚たちは保守的であり、ハン・シヒョンが女性だからというのもあり、彼女の提案は一蹴されてしまう。
彼女は何度も財務局次官のパク・デヨンに立ち向かうものの、ハーバード大学出身というエリート思考のもと、彼女の考えを受け入れない。
また、この作品は、国を守ろうとするハン・シヒョンと、腐った官僚たちとの闘いを中心としつつも、庶民の様子も描いている。
その庶民代表として登場するのが、小さな食器工場を営むガプス。彼はこの金融危機のあおりをモロに受けてしまった一人だ。ガプスの金策に走る様子がとても哀れで見ていられない。「あー、それやっちゃだめだよ」と私は何度も心の中で叫んでしまった。
でも、しょうがない。金に困った人間は何でもやるんだから。
そしてもうひとり、金融コンサルタントのユン・ジョンハクという人物も登場する。彼は危機に投資してお金を儲けている。
彼が発することばで印象的なのが「騙されないぞ」ということば。韓国政府は、自国が破産寸前だということを国民に隠し、IMFの支援を受けようとしていた。
だが、ユンは政府のことなど一切信用せずにどんどん儲けていったのだ。
この話は、ハン・シヒョンとパク・デヨンの闘い、庶民代表といっていいガプスの困った様子、そして金融コンサルタントのユン・ジョンハクの金儲け、の3つの要素を織り交ぜたおもしろい作品になっている。
国家の破産を3つの視点から描いていて、緊張感が高い作品だと言っていい。
これを観ると、「国家に騙されてはいけない」という気持ちが強くなる。
日本だって、政治家に騙されていはいけない。現在の政府はいろんな不祥事を起こしているのだが、野党が弱いのと国民が政治に対して関心が薄いため、その不祥事はかき消されてしまう。
あらためて、ニュースなどしっかりみて、今の政府は正しいことをしているのかをしっかり見極める目を養っていきたいと思う。
そうしなければ、日本の国民だって政府に騙される日が来るかもしれないから。
いや、すでに何回も騙されているのかもしれない・・・。