先日、学習塾を自分で開いている友人と会いました。
やっとで自分の塾が軌道に乗ったということで、喜ばしいことです。
塾をつくって10年くらい。ここまでの彼の苦労は計り知れないものがあります。
もう何年も前から少子高齢化社会と言われてきて、そんななか、塾をつくるなんて、自殺行為です。
でも、それだけ、やりたかったことなんだと思います。なにはともあれ、うまくいってよかったです。
彼は、「ラクだ」と言ってました。
決して経営がラクなわけではありません。茨の道をこれからも歩んで行くはずです。
しかし、自分で塾を開いているので、何かと文句を言う上司も社長もいないということがラクなのでしょう。
確かにそうだろうなぁと思いました。
塾に就職する人は、たいてい、勉強が好きだったり、教えるのが好きだったり、子どもが好きだったりします。
就職する前は、生徒のことを思い浮かべたり、教え方をどうしようかと思案したり、とにかく将来の自分の姿がいっぱい浮かびます。
ところが就職してフタを開けてみると、まったく様子がちがうことに気づきます。
なにせ、一番大切な仕事は
生徒の獲得
です。
基準は生徒数。
当然生徒数が少なければ売上が減るし、利益もとれません。
就職して、何年か経つと、教育について考えることより、営業について考えることのほうが断然多くなってきます。頭の中が営業でいっぱいになるのです。
生徒数確保のための会議も多くなり、営業活動も増えます。
私のいた会社では、毎週責任者が対象の会議があったうえに、業績があがらない責任者には、業績改善のための会議がありました。
そこでクソミソ言われます。
年に数回社長との面談があり、そこでは社長の気に障ることがあると「死ね」くらいのことを言われます。
会議も社長面談も恐怖でした。
職場では生徒確保のために、電話をかけまくり、友人を紹介してもらうためにあれこれ企画し、チラシつくり、夜中にポスティングしたり、いろいろしました。
そんなに多くの営業関係の仕事があるのに、休日返上して生徒の補習をしたり、親御さんとの面談をしたりで、休んでいる暇もなかったです。
それが当時の生活でした。
授業したり補習したり、または教材作ったりするのは、それほど苦ではなかったです。むしろ楽しい行為でした。
しかし、会議とか、業績向上のための指導を受けたりするのは本当に苦痛でした。
生徒数増加というのは、会社もしくは経営者のための仕事ですからね。
やらされ感たっぷりです。
そしていろいろ言われるのはもうたくさん。
塾の会社に就職したけど、辞めるまでの数年間は本当に苦痛でした。
早くやめればよかった
と心から思います。
はっきり言って、塾に就職したら、自分の理想など何一つ叶えられません。
いつの間にか会社の方針に従い、生徒数増のためのスキルが身につくだけです。
もし子どもに何かを教えたいという人がいたら、自分で塾を開いたり、家庭教師をやったりするのがいいでしょう。