事実の弊害 2022-01-05

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松本潤さん主演の「99.9 THE MOVIE」、おもしろかった。

テレビドラマをひとまわり大きくしたスケールで、出演者も少し豪華になり、撮影規模も少し大きくなって上映された。

また連続ドラマとしてテレビで見てみたいなぁと思う。

 

マツジュンが演じる深山という弁護士は、ほとんど有罪が決まっているような刑事事件の事実を解明し、逆転無罪を勝ち取る弁護士だ。

その思想の根底には「事実が知りたい」というものがある。

犯罪があったとき、警察あるいは検察が事実を歪めてストーリーをつくってしまう。そのなかに埋もれてしまった事実を深山は突き止めるのである。

 

ところが、事実がときには残酷な結末を迎えることもある。

今回上映された映画のストーリーもそうだった。

15年前に起きた毒物ワイン殺人事件で死刑の判決を受けたまま獄中で死亡してしまった被告の疑いを晴らすために動き出した深山、そこにあったのは悲しい事実だった。

 

ドラマだから、映画だから、こんなにやりきれない事実が裏に隠されていたりもする。

では、現実世界ではどうだろうか。

 

現実世界でも、事実は人を傷つけることがある。

私の先輩は、よく、「本当のことは言ってあげなければ」とズケズケと言ったりしている。そこには言われるほうへの配慮がない。

 

たとえば、成績の悪い子ども特に暗記が苦手な子どもに、「君は頭が悪いね」というのは本当にその子どものためになるのだろうか。

体重が重くて、大柄な体型の人に「君はデブだね」というのがその人のためになるか。

 

やはり事実の取り扱いには注意しなければいけない。

 

しかし、それでも事実はその人のためになることもある。

私は、かつて何回かつきあっていた女性にフラれたことがある。そのときに、ものすごくダメ出しをされた。

フラれたことも傷ついたが、それ以上に別れようというそのときに悪口を言われたような気がして、かなり落ち込んだ。

 

ところが、数ヶ月あるいは1年以上経って、私は自分がどんなにダメな男だったかということを自覚した。

やはり自分がダメな男だという事実を知ることは必要なことだったのだ。

 

事実はときに残酷なことがある。

しかし、それを知ることが必要なことも多い。

 

「99.9 THE MOVIE」では事実が突き止められて、とても悲しい思いをした人がいる。だが、事実が隠されたままよりもよかったのかもしれない、そう思った。