まど・みちお「人間の景色」の地球を見たい

「私は何歳まで生きるだろうか?」

そんなことを考える年齢になってきました。

 

40歳を過ぎたあたりから、人生の折り返し地点なんだなぁと意識し、有名人が70歳くらいで亡くなると、自分もそれくらいかもしれないと思ったものです。

 

そんなことを考えていたある日、詩人まど・みちおさんのことを特集にしたテレビ番組がありました。そのときのテレビ番組の内容はそんなにおぼえていないのですが、100歳にして、なおことばの魅力にとりつかれているまどさんの姿がそこにありました。

 

結局、まど・みちおさんは104歳で生涯の幕をおろしたのですが、私にとって、まどさんの詩は、私にやすらぎを与えてくれます。

 

ちなみに、彼はあの有名な歌「ざうさん」を作詞した人です。そういえばわかりやすいですかね。

 

 

☆☆☆

 

さて、まど・みちおさんの詩に「人間の景色」というものがあります。

 

人間の景色

 

坂の上のポストに

手紙をだしにいき 帰りに

兄弟らしい小学生とすれちがった

笑い声をあげてる二人だったが

兄はけんめいに自転車のペダルをふみ

息をきらしつつ

小走りの弟の速度にあわせていた

ゆっくりとSの字をえがきながらに・・・

ふりかえって見とれたが

もうはや思いのこすことはなかった

これこそ地球にすむ

われら人間の景色なのだ・・・

地球は美しかった

 (まど・みちお「100歳詩集 逃げの一手」より)

 

とある場所で、作者は兄弟とすれちがい、思わず見とれてしまいました。

 

坂道を小走りで進む弟

その横に自転車をこぐ兄

 

ふたりの進むスピードは当然ちがうはずです。

ところが兄が弟のペースに合わせていたのです。

 

坂道ですから、兄もけっこうきつかったと思います。

自転車を使っているのに、のろいスピードで坂道をのぼるわけですから・・・。

 

それを目撃した作者

思いのこすことがないほどのものを見たようです。

 

そしてこう言います。

 

これこそ地球にすむ

われら人間の景色なのだ・・・

 

 

兄と弟のこの様子を「人間の景色」と表現しています。

 

これぞ「人間の景色」なのです。

 

作者には、兄と弟がまるで手をとりあって進んでいるように見えたのではないでしょうか。

 

安っぽいことばに聞こえてしまうかもしれませんが、これぞ兄弟愛です。

 

そして、このような愛は、おそらく地球上のいろんなところにあふれているんじゃないかと、作者は思ったはずです。

 

だから作者は

 

地球は美しかった

 

と言ったのだと思います。

 

男女の愛はもちろん、親子の愛、兄弟の愛など、愛は美しい。

 

人が、人に思いやりを持って接している様子は、本当に美しいものです。

 

地球上が思いやりであふれたら、地球はもっと美しくなるんでしょうね。

 

私は、この詩を読んだ時、この地球に住む人間が、この兄弟のようになったらいいなぁと思ってしまいました。

 

この詩は本当にいい詩ですね!