泉鏡花「外科室」のなかに純愛を見た

最近、小説を読まなくなったので、どんな作品がいいかって聞かれてもこたえることができません。

 

ただ、以前、知人から、いくつかオススメの作品を紹介してもらいました。

 

そのうちの一つが泉鏡花『外科室』です。

 

そもそも、これまで泉鏡花の作品を読んだことがありませんでした。知ってる知識といえば文学史で出てくる『高野聖』くらい。

 

他に泉鏡花をオススメという人に出会ったこともなかったので、どんなものかと思っていました。

 

なお、ウィキペディアによると、泉鏡花はこのような人だそうです。

 

1873年(明治6年)11月4日 - 1939年(昭和14年)9月7日)は、日本の小説家。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。小説の他に戯曲や俳句も手がけた。本名、鏡太郎(きょうたろう)。金沢市下新町生れ。
尾崎紅葉に師事した。『夜行巡査』『外科室』で評価を得、『高野聖』で人気作家になる。江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。他の主要作品に『照葉狂言』、『婦系図』、『歌行燈』などがある。

 (泉鏡花 - Wikipediaより引用)

 

やはり『高野聖』が有名な人って感じですね。明治に活躍した人で、この「外科室」は明治28年の作品です。

 

 

(この先はネタバレが多少あるので、読みたくない人はここでやめてください)

 

あらすじは下記のとおり(ウィキペディアより引用)

 

時は明治。高峰医師によって、貴船伯爵夫人の手術が行われようとしていた。しかし、伯爵夫人は麻酔を受付けようとしない。麻酔をかぐと、心に秘めた秘密をうわごとでいってしまう、そのことを恐れているのだという。夫人が隠し通そうとする秘密とは何か。

 

 

実はこの話、恋愛ものなんです。ところが、こんな愛情のカタチがあり?、こんな終わり方ってあり?と思うくらい特殊です。いろいろ驚きでした。

 

読んでいてここいいなと思ったのは高峰医師と夫人の会話です。

 

「痛みますか。」

「いいえ、あなただから、あなただから。」

 

「でも、あなたは、あなたは、私を知りますまい!」

「忘れません」

 

これですね。この会話がこの物語の重要なポイントで、とても深い部分です。

 

もうひとつ、いいなと思ったのは二人の様子を描いたところです。

 

その時の二人がさま、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし。

 

この世で二人だけが存在しているだけの状態ってどんな感じなんでしょうね?ちょっと想像もつきませんが。

 

とにかくストーリーもそうなんですが、こういう情景描写もすごいという印象です。やはり明治の作家はすばらしいですね。

 

また、この話は文語体で書かれているんですが、それも話に味を出している要素だと感じました。文語体って独特のリズムがあるんですよね。日本語のよさを引き出すリズムなんだろうと思います。

 

さて、この純愛小説を読み終わって、私の過去に純愛ってあったかなぁ?

 

 振り返ってみると、中学生の頃、好きな女の子がいました。これが純愛って呼んでいいのかわかりませんが、かなりずっと好きだったのをおぼえています。だいたい中学3年の頃から高校3年生の頃まで好きでした。

 

高校なんて別々のところに通っていて全く会わなかったのに好きだったのです。

 

なんという純愛!

 

今ではこんな恋愛できないです(笑)

 

今の私には、本当の愛とか言われても、そんなのないよと思っちゃいますが、その割には恋愛もののドラマや映画が好きだったりします。心のどこかで純愛を信じる自分がいるんでしょう。

 

だから「外科室」を読んだときにすごいと感じたのだと思います。

 

よくあるドラマを見たところで、たいてい同じような恋愛をみんなしています。たまにはこういう愛のかたちもあるんだってことを知っておいたほうがいいですね。

 

ぜひ、「外科室」読んでみてください!