春の詩といえば、丸山薫「まんさくの花」ですよね

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(まんさくの花 File:Hamamelis japonica4.jpg - Wikimedia Commonsより)

 

もう、春かなと思うと、また寒さがやってくる、

それが冬から春への、季節の変わり目です。

 

3月になると、さすがにあの厳しい寒さはなくなりますが、

依然として、肌寒い日が続きます。

 

いったい、「春だなぁ」って、いつ心から言えるんだろう・・・。

 

 

ところで、私は、以前、塾の先生をやっていました。

 

科目は国語。

 

全然、国語力がなくて恥ずかしいんですけど、

まあ、詩とか短歌が好きだったのでいいかなと・・・。

 

ともかくその時は、いい詩やいい短歌を

大勢の子どもたちに読んでもらいたいって希望がありました。

 

塾の教材には、なかなかいい詩がたくさんあるんです。

 

そのうちのひとつが、今日紹介する丸山薫って人の、「まんさくの花」です。

 

この人の、春を主題とする詩は、いくつかあるんですけど、私はこの詩が一番好きです。

 

 

まんさくの花

 

まんさくの花が咲いた と

子供達が手折って 持ってくる

まんさくの花は淡黄色の粒々した

眼にも見分けがたい花だけれど

 

まんさくの花が咲いた と

子供達が手折って 持ってくる

まんさくの花は点々と滴りに似た

花としもない花だけれど

 

山の風が鳴る疎林の奥から

寒々とした日暮れの雪をふんで

まんさくの花が咲いた と

子供達が手折って 持ってくる

 

 

 

第一連と二連を見る限り、ただ単に、子どもたちが「まんさくの花」を手折って持ってきただけって感じがします。

 

「枝を折っちゃ、ダメでしょ」

なんて、現代の大人たちだったら言うんでしょうね。

(もちろんダメです)

 

が、第三連で、この詩の背景が明らかになります。

山の風が鳴る疎林の奥から

寒々とした日暮れの雪をふんで

 

そこは雪国、しかも山の中。

 

想像するだけで、いや、雪国で暮らしたことのない私には、

想像できないくらいの寒さなんでしょう。

 

辺りはどういう景色でしょう。

 

見渡すと雪しかないわけですから、

とてもシンプルな景色にちがいありません。

 

そんななか、子どもたちは、寒さにふるえながら

春が来るのを、今か今かと待っているはずです。

 

そうして、雪深い山の林の奥を歩いていたら

「淡黄色の粒々した」

「点々と滴りに似た」

花というには、ちょっと頼りない花が咲いていたのです。

 

あたり一面雪の中で

春のきざしを見つけたのです。

 

とても小さいきざしだったのですが。

 

それでも子どもたちにとっては大きな喜びだったにちがいありません。

 

私は、この「まんさくの花」を手折って持ってきた子どもたちの笑顔を想像したい。

 

厳しく長い冬を過ごした子どもたちだからこそ、喜びも大きいはず。

 

きっと、子どもたちの輝く笑顔を、作者は見たんだろうなぁ。

 

そういうことが想像できるこの詩がとても好きなんです。

 

現代社会に生きる私たちは、春のきざしを、どこで感じるんでしょうかね。

 

昔の日本人みたいに、さまざまな自然から、季節を感じてみたいものです。

 

 

それにしても、丸山薫っていい詩を書きますよね!